THE MONSTER
井上尚弥

ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチが5月6日、東京都文京区の東京ドームで開催され、統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が元世界王者で挑戦者のルイス・ネリ(29)=メキシコ=に6回TKO勝利し、ベルト4本の防衛に成功した。同会場での世界戦興行はヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)がプロ初黒星を喫した1990年2月以来、34年ぶりだった。
 「モンスター(怪物)」の異名を取る井上尚はボクシングで異例の大観衆が見守る 中、序盤にダウンを喫しながらも底力を発揮した。井岡一翔(志成)に並ぶ歴代 1位の世界戦22勝目を挙げ、戦績は27戦全勝(24KO)とした。

34年ぶりの東京ドームで日本人のメインイベント。

皆さんの(応援の)力がパワーになった。

1回にダウンを喫したことについて。

サプライズはいかがでしょうか?

「悪童」と称されるネリが相手だった。

自分はこの闘いに集中していた。

また、皆さんが期待する試合をして、最高の試合をしたい。

NAOYA INOUE
Battle Record
 27 wins
 24 KOs
KOs 89 %

井上尚弥のプロフィル

1993年4月10日生まれ
神奈川県座間市出身
身長165cm
神奈川・相模原青陵高時代にアマチュア7冠。2012年10月プロデビュー。14年4月にWBCライトフライ級、同年12月にWBOスーパーフライ級、18年5月にWBAバンタム級王座獲得。19年11月にワールド・ボクシング・スーパーシリーズ優勝。22年12月に世界主要4団体王座統一。23年7月にスーパーバンタム級2団体王者となり、4階級制覇。同年12月に4団体王座統一。右ボクサーファイター。

井上尚弥の世界戦成績

ライトフライ級[2戦全勝]
2014年4月 エルナンデス メキシコ 6回TKO
14年9月 サマートレック タイ 11回TKO
スーパーフライ級[8戦全勝]
14年12月 ナルバエス アルゼンチン 2回KO
15年12月 パレナス フィリピン 2回TKO
16年5月 カルモナ メキシコ 判定
16年9月 ペッチバンボーン タイ 10回KO
16年12月 河野公平 日本 6回TKO
17年5月 ロドリゲス 米国 3回KO
17年9月 ニエベス 米国 6回TKO
17年12月 ボワイヨ フランス 3回TKO
バンタム級[9戦全勝]
18年5月 マクドネル 英国 1回TKO
18年10月 パヤノ ドミニカ共和国 1回KO
19年5月 ロドリゲス プエルトリコ 2回TKO
19年11月 ドネア フィリピン 判定
20年10月 モロニー オーストラリア 7回KO
21年6月 ダスマリナス フィリピン 3回KO
21年12月 ディパエン タイ 8回TKO
22年6月 ドネア フィリピン 2回TKO
22年12月 バトラー 英国 11回KO
スーパーバンタム級[3戦全勝]
23年7月 フルトン 米国 8回TKO
23年12月 タパレス フィリピン 10回KO
24年5月6日 ネリ メキシコ 6回TKO
father
father

小学校1年生の時、父にボクシングを始めたいと伝え、
厳しさを説かれた時

大丈夫。
強くなるから。

ボクサー人生は自宅の一室から始まった。アマチュアで競技を経験した父真吾さんの練習場で、小学1年でグローブを手にした。弟拓真(大橋)とともに後にジムを開く父の厳格な指導で基礎をたたき込んだ。
  神奈川・相模原青陵高時代、アマ7冠に輝いた。ジムの先輩で世界3階級制覇した八重樫東さんは「高校生の時には化け物になっていた」と拳を交わした当時を思い起こす。
  以前行った体力測定では握力など数値が成人男性の平均程度だった。井上尚は「身体能力は低いですよ」と笑う。一方で強みは「空間把握能力」とし「パンチを当てる距離に苦労したことがない。すんなり打てることが打撃の強さ、スピードにつながるのだと思う」と自負をのぞかせる。
  今でもトレーナーは父に任せている。「家族で一からつくり上げたボクシング。自分はエリートというより、たたき上げ。家族でやり遂げないと意味がない」と言えば、父も「(プロ転向時に)『どうしてもお父さんじゃないとやりたくない』と言ってくれた。感じるものがあった」と話し、強い絆をうかがわせた。

大橋会長

(大橋ジム提供)

所属ジムの大橋会長 2012年7月
19歳で受けた異例の公開プロテストでは現役日本王者を圧倒し、
難なく合格。ジムの大橋秀行会長が期待を込め

世界に出て
怪物からMonsterになる。

2016年5月
井上尚がスパーで相手を再三倒し、相手選手がガードした肘の骨を折ったことを受けた大橋会長

見たことのない光景を
目の当たりにしている。

WBC

Light Flyweight
Title Match

2014年4月6日
プロ6戦目で世界王座獲得

小さい頃からの夢を
絶対にかなえようと
思って戦った。

WBO

Super Flyweight
Title Match

2回KOで敗れた過去ダウン経験のないナルバエス

歴史的な王者に
なるだろう。

WBA

Bantamweight
Title Match

(マクドネル戦を前に)自身の一番の特長は

空間把握能力。
これまで試合でパンチを当てる距離に苦労したことがない。

World Boxing Super Series

WBA

Bantamweight
Title Match

パヤノに1回1分10秒、
衝撃のKO勝ち

試合は完璧。百点。

the ring

2018年12月6日(表紙はリング誌提供)
井上尚弥が日本選手単独で初めて、伝統のある米専門誌「ザ・リング」の表紙を飾った。「自分のスタイル、結果が認められてきたのだと思う。日本のチャンピオンの中で一つ抜けたステージに行きたいと前から思っていたのでうれしい」と喜んだ。
2019年2月号の表紙で「日の丸」をイメージした赤と白が基調。愛称「モンスター」の文字も並び、インタビューを基にした特集が組まれた。
1922年創刊のザ・リングの表紙は元世界ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)ら世界的スターが飾ってきた。その仲間入りに、同誌のダグ・フィッシャー編集長は「世界中に認知されるべき偉大なチャンピオン」とコメント。所属ジムの大橋秀行会長は「日本人が初めて認められた。すごい快挙を成し遂げた」と話した。  

World Boxing Super Series

WBA IBF

Bantamweight
Title Match

ロドリゲスを2回TKOで一蹴

強さに満足していない。 まだ底が見えていない。

World Boxing Super Series

WBA IBF

Bantamweight
Title Match

2019年8月26日 WBSS決勝に向けた記者会見で、
ドネアが

モンスターに成長した、 世界最高のボクサーの
一人。

プロで初めて強打を浴びてふらつくピンチを乗り越え

息子の存在があったから持ちこたえられた。

世代交代といえる内容
ではなかった。
はらはらして楽しめたが、
全てを出せたわけじゃない。

日本人初の3団体統一戦を見据え

まだ見たことのない景色があるし、 見られると思っている。

世界から見た
井上尚弥

davis

ジャーボンテイ・デービス
(米国)

デービスは2022年4月、インターネットメディア「ファイトハブTV」に井上と対戦する可能性についてこう語っていた。「日本のアイツは誰だった?イノウエ?そうだ」「(自分とやれば)面白い戦いになるだろう。そしてテクニカルなものにね。だが彼にとってオレは(体が)大きすぎるんじゃないかな」
(写真はゲッティ)

pac

マニー・パッキャオ氏
(フィリピン)

【ネットメディアのLittle Giant Boxingに】 「尚弥のことは好きだ。以前日本で彼を教えたこともある。さらに階級を上げることを考えているなら彼のトレーニングを指導したい。(スティーブン・フルトン=米国=戦は)素晴らしいパフォーマンスだった。速さ、俊敏性、強さもあった」
【井上尚―フルトンにX(旧ツイッター)で】 「井上はパンチに込められた大きなパワーと優れたスピードの持ち主。特別なボクサーだ」

tyson

マイク・タイソン氏
(米国)

【テレンス・クロフォード(米国)―エロール・スペンス(米国)の試合前に、この一戦の勝者と、スティーブン・フルトン(米国)に勝った井上尚弥のどちらがパウンド・フォー・パウンドにふさわしいかを問われ、ネットメディアのFight Hub TVなどに】 「自分の意見では、日本のボクサー(井上尚)が世界最高のボクサーだ」

dug

ダグラス・フィッシャー氏

PFPで日本初の1位になった井上について「天性の才能とスキル、テクニック、そして身体能力が絶妙にブレンドされている。これまでで最も手ごわい相手をダイナミックに爆発力を発揮して破った」
PFP1位の座を守るためには「議論の余地のない存在となり、圧倒的な形で勝ち続ける必要がある」「スーパーバンタム級でも、まだ『モンスター』になれると思う」 (2022年6月、共同通信による電子メールでのインタビューで。写真は本人提供)

WBA IBF WBC

Bantamweight
Title Match

今回はドラマにならない。一方的に、触れさせずに終わる。

ドネアに2回TKOで勝利し

一方的に勝つと自分にプレッシャーをかけて挑んだ。
一つ上のステージに
行ける。

WBA IBF WBC WBO

Bantamweight
Title Match

バンタム級世界4団体王座統一戦を前に

自分はどんな
ボクシングでもできる。

バンタム級世界4団体王座統一戦から
一夜明け

全てが通過点。
ゴールは決めておらず
体力的な限界がくるまで、
どこまでも挑戦し続けたい。

WBC WBO

Super Bantamweight
Title Match

距離感を
自分がつかむ。

フルトンに8回TKOで勝利し

階級の壁を感じずに闘うことができた。

米興行大手トップランク社の
プロモーター、ボブ・アラム氏

これから先、長く語り継がれる試合だった。伝説的な選手になってきている。

WBA IBF WBC WBO

Super Bantamweigh
Title Match

(タパレスは)非常にタフで気持ちの強い選手だった。

もっと強い姿を見せられるように精進する。

どんな闘いが
待っているのか楽しみにしたい。