ボクシング世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチが9月3日、東京都江東区の有明アリーナで行われ、統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が元世界王者で挑戦者のTJ・ドヘニー(37)=アイルランド=に7回TKO勝ちした。井岡一翔(志成)を抜き、日本選手歴代単独1位となる世界戦23勝目を挙げた。戦績は28戦全勝(25KO)。
「モンスター(怪物)」の異名を取る井上尚は昨年7月に4階級制覇。同12月には史上2人目となる2階級での世界主要4団体王座統一に成功した。
今回のテーマは
1993年4月10日生まれ
神奈川県座間市出身
身長165cm
神奈川・相模原青陵高時代にアマチュア7冠。2012年10月プロデビュー。14年4月にWBCライトフライ級、同年12月にWBOスーパーフライ級、18年5月にWBAバンタム級王座獲得。19年11月にワールド・ボクシング・スーパーシリーズ優勝。22年12月に世界主要4団体王座統一。23年7月にスーパーバンタム級2団体王者となり、4階級制覇。同年12月に4団体王座統一。右ボクサーファイター。
2014年4月 | エルナンデス | メキシコ | 6回TKO |
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14年9月 | サマートレック | タイ | 11回TKO |
14年12月 | ナルバエス | アルゼンチン | 2回KO |
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15年12月 | パレナス | フィリピン | 2回TKO |
16年5月 | カルモナ | メキシコ | 判定 |
16年9月 | ペッチバンボーン | タイ | 10回KO |
16年12月 | 河野公平 | 日本 | 6回TKO |
17年5月 | ロドリゲス | 米国 | 3回KO |
17年9月 | ニエベス | 米国 | 6回TKO |
17年12月 | ボワイヨ | フランス | 3回TKO |
18年5月 | マクドネル | 英国 | 1回TKO |
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18年10月 | パヤノ | ドミニカ共和国 | 1回KO |
19年5月 | ロドリゲス | プエルトリコ | 2回TKO |
19年11月 | ドネア | フィリピン | 判定 |
20年10月 | モロニー | オーストラリア | 7回KO |
21年6月 | ダスマリナス | フィリピン | 3回KO |
21年12月 | ディパエン | タイ | 8回TKO |
22年6月 | ドネア | フィリピン | 2回TKO |
22年12月 | バトラー | 英国 | 11回KO |
23年7月 | フルトン | 米国 | 8回TKO |
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23年12月 | タパレス | フィリピン | 10回KO |
24年5月6日 | ネリ | メキシコ | 6回TKO |
24年9月3日 | ドヘニー | アイルランド | 7回TKO |
小学校1年生の時、父にボクシングを始めたいと伝え、
厳しさを説かれた時
ボクサー人生は自宅の一室から始まった。アマチュアで競技を経験した父真吾さんの練習場で、小学1年でグローブを手にした。弟拓真(大橋)とともに後にジムを開く父の厳格な指導で基礎をたたき込んだ。
神奈川・相模原青陵高時代、アマ7冠に輝いた。ジムの先輩で世界3階級制覇した八重樫東さんは「高校生の時には化け物になっていた」と拳を交わした当時を思い起こす。
以前行った体力測定では握力など数値が成人男性の平均程度だった。井上尚は「身体能力は低いですよ」と笑う。一方で強みは「空間把握能力」とし「パンチを当てる距離に苦労したことがない。すんなり打てることが打撃の強さ、スピードにつながるのだと思う」と自負をのぞかせる。
今でもトレーナーは父に任せている。「家族で一からつくり上げたボクシング。自分はエリートというより、たたき上げ。家族でやり遂げないと意味がない」と言えば、父も「(プロ転向時に)『どうしてもお父さんじゃないとやりたくない』と言ってくれた。感じるものがあった」と話し、強い絆をうかがわせた。
(大橋ジム提供)
所属ジムの大橋会長 2012年7月
19歳で受けた異例の公開プロテストでは現役日本王者を圧倒し、
難なく合格。ジムの大橋秀行会長が期待を込め
2016年5月
井上尚がスパーで相手を再三倒し、相手選手がガードした肘の骨を折ったことを受けた大橋会長
WBC
Light Flyweight
Title Match
2014年4月6日
プロ6戦目で世界王座獲得
WBO
Super Flyweight
Title Match
2回KOで敗れた過去ダウン経験のないナルバエス
WBA
Bantamweight
Title Match
(マクドネル戦を前に)自身の一番の特長は
World Boxing Super Series
WBA
Bantamweight
Title Match
パヤノに1回1分10秒、
衝撃のKO勝ち
2018年12月6日(表紙はリング誌提供)
井上尚弥が日本選手単独で初めて、伝統のある米専門誌「ザ・リング」の表紙を飾った。「自分のスタイル、結果が認められてきたのだと思う。日本のチャンピオンの中で一つ抜けたステージに行きたいと前から思っていたのでうれしい」と喜んだ。
2019年2月号の表紙で「日の丸」をイメージした赤と白が基調。愛称「モンスター」の文字も並び、インタビューを基にした特集が組まれた。
1922年創刊のザ・リングの表紙は元世界ヘビー級統一王者マイク・タイソン(米国)ら世界的スターが飾ってきた。その仲間入りに、同誌のダグ・フィッシャー編集長は「世界中に認知されるべき偉大なチャンピオン」とコメント。所属ジムの大橋秀行会長は「日本人が初めて認められた。すごい快挙を成し遂げた」と話した。
World Boxing Super Series
WBA IBF
Bantamweight
Title Match
ロドリゲスを2回TKOで一蹴
World Boxing Super Series
WBA IBF
Bantamweight
Title Match
2019年8月26日 WBSS決勝に向けた記者会見で、
ドネアが
プロで初めて強打を浴びてふらつくピンチを乗り越え
日本人初の3団体統一戦を見据え
デービスは2022年4月、インターネットメディア「ファイトハブTV」に井上と対戦する可能性についてこう語っていた。「日本のアイツは誰だった?イノウエ?そうだ」「(自分とやれば)面白い戦いになるだろう。そしてテクニカルなものにね。だが彼にとってオレは(体が)大きすぎるんじゃないかな」
(写真はゲッティ)
【ネットメディアのLittle Giant Boxingに】
「尚弥のことは好きだ。以前日本で彼を教えたこともある。さらに階級を上げることを考えているなら彼のトレーニングを指導したい。(スティーブン・フルトン=米国=戦は)素晴らしいパフォーマンスだった。速さ、俊敏性、強さもあった」
【井上尚―フルトンにX(旧ツイッター)で】
「井上はパンチに込められた大きなパワーと優れたスピードの持ち主。特別なボクサーだ」
【テレンス・クロフォード(米国)―エロール・スペンス(米国)の試合前に、この一戦の勝者と、スティーブン・フルトン(米国)に勝った井上尚弥のどちらがパウンド・フォー・パウンドにふさわしいかを問われ、ネットメディアのFight Hub TVなどに】 「自分の意見では、日本のボクサー(井上尚)が世界最高のボクサーだ」
PFPで日本初の1位になった井上について「天性の才能とスキル、テクニック、そして身体能力が絶妙にブレンドされている。これまでで最も手ごわい相手をダイナミックに爆発力を発揮して破った」
PFP1位の座を守るためには「議論の余地のない存在となり、圧倒的な形で勝ち続ける必要がある」「スーパーバンタム級でも、まだ『モンスター』になれると思う」
(2022年6月、共同通信による電子メールでのインタビューで。写真は本人提供)
WBA IBF WBC
Bantamweight
Title Match
ドネアに2回TKOで勝利し
WBA IBF WBC WBO
Bantamweight
Title Match
バンタム級世界4団体王座統一戦を前に
バンタム級世界4団体王座統一戦から
一夜明け
WBC WBO
Super Bantamweight
Title Match
フルトンに8回TKOで勝利し
米興行大手トップランク社の
プロモーター、ボブ・アラム氏
WBA IBF WBC WBO
Super Bantamweigh
Title Match
WBA IBF WBC WBO
Super Bantamweigh
Title Match
34年ぶりの東京ドームで日本人のメインイベント。
1回にダウンを喫したことについて。
「悪童」と称されるネリが相手だった。
2024年6月6日
井上尚弥はニューヨークで全米ボクシング記者協会による2023年の年間最優秀選手賞「シュガー・レイ・ロビンソン賞」の授賞式を兼ねた夕食会に出席。