日本サッカーの歴史に「ワールドカップ(W杯)8強」の新たな一ページを加えることはできなかった。
現地時間12月5日にあったW杯カタール大会の決勝トーナメント1回戦で、日本はクロアチアに激闘の末、敗れた。悲願だった8強入りはかなわなかった。
前半終了間際に前田大然がゴールネットを揺らして今大会初めて先制。後半の失点後は持ちこたえたものの、PK戦で悲しい結末が待っていた。
1人目で失敗した南野拓実を含めて3人がゴールキーパー(GK)に止められた。
何度も美技で日本を救ったGK権田修一にとっても悔いが残った。「勝つためにやるしかない」と気合を入れたPK戦だが、相手がポストに当てて失敗した1本を除いて全て決められた。「僕自身が勝負を決められる状況というのがPK戦だったので、この負けは悔しいです」。試合後のインタビューで言葉を絞り出した。
今大会の日本は1次リーグE組でW杯優勝経験国のドイツ、スペインに逆転勝ちして首位通過。初めて2大会連続でベスト16入りを果たしたが、過去の最高成績を上回る準々決勝への進出はならなかった。
日本とクロアチアがW杯で顔を合わせたのは3度目。日本は1998年大会で敗れ、2006年大会で引き分けており、またも勝てなかった。
サムライブルーのカタールでの戦いが終わった瞬間、主将の吉田麻也は悲嘆に暮れるチームメートをなぐさめ、先頭に立って観客席のサポーターに感謝した。3度目となるW杯は全試合に出場。ベスト8進出には届かなかったが、厳しい戦いの中で快進撃を続けたチームを「日本サッカーの成長の一端を担えたならうれしい」と誇った。
日本の活躍について各国メディアは好意的に報じた。米紙ニューヨーク・タイムズは「これほど大会を盛り上げ、活気づかせたチームはなかった」と称賛。スペイン通信も「日本にはったりはなかった」と伝えた。
森保一監督は「世界で戦い、勝っていけるという新時代を選手たちは見せてくれた」と語った。
―あと一歩だった
「選手は勇敢に戦ってくれた。残念な結果だが、受け止めたい。ベスト16の壁は破れなかったが、世界で戦い、勝っていけるという新時代を選手たちは見せてくれた」
――相手の同点ゴールについて
「クロスとヘディングシュートが素晴らしかった。ただし、これまでであれば(その後に)ロングボールで押し切られた日本サッカーの歴史があると思うが、十分にはね返していけるということを見せてくれた」