第31回全日本シンクロナイズドスケーティング選手権は8日、大津市の木下カンセーアイスアリーナで開幕してショートプログラム(SP)が行われ、16連覇を目指すJingu Ice Messengersが56.44点で首位に立った。3大会ぶりに複数チームが出場し、TEAM BRILLIANCEが31.54点で2位。
ジュニアは出場1チームで、神宮Ice Messengers Juniorが42.44点をマークした。
成長のSP「アバター」 Jingu Ice Messengers、目標は世界7位
Jingu Ice MessengersはSPで映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の世界をテーマに滑った。「水の神秘的な美しさや、生命の躍動感」を表現するため、随所に取り入れた独特な動きが見どころ。佐々木香乃キャプテンは「最近では一番良い演技ができて、1月のチャレンジャー・シリーズ(CS)からもディテールが磨かれた良い演技だったかなと思います」と手応えを口にした。
関口知代・代表コーチは「シングル(スケーティング)の経験者が多いから、いろんな技ができる」とチームの特長を語る。一方で、シンクロの競技レベルは近年、急速に上がり「シングルで6級、7級の子でも難しい技」が求められるようになっているという。
今シーズンの目標は4月の世界選手権(ヘルシンキ)で7位に入ること。昨季は2大会連続の10位だった。「CSは52点、今日は56点と順調に上がっているので、ワールドに向けても同じくらい成長して世界7位の目標をかなえたい」と佐々木キャプテン。9日のフリーで弾みがつく演技を目指す。
日本シンクロ界のパイオニアが再出発 「MAO RINK」拠点の新チーム TEAM BRILLIANCE
TEAM BRILLIANCEの大花美和は「この舞台にまず立てたということが素晴らしいこと。初めての子もいたが、緊張しながらも気持ち一つに演技できた」と感慨深げだった。
大花は15年ぶりの全日本出場だという。1994年の第1回大会から一時代を築いた日本シンクロ界のパイオニア、東京女子体育大学を母体とする東京シンクロナイズドスケーティングクラブにかつて所属し、世界選手権代表の経験もあった。
転機は2年前。元チームメート、福田真理恵との約10年ぶりの再会だった。「月1で集まろうと話していたのが、いつの間にか全日本目指しちゃった感じ」と、振り付けも担当している福田キャプテンは笑う。新チームを結成し、今大会に19歳~39歳と幅広い年齢層で挑んだ。
大森佳奈子・代表コーチは「若手は場慣れしていなくて(福田、大花ら)国際経験がある選手とレベルの差はある。でも、日を重ねるごとにチームとしてまとまった」と感極まって涙。晝岡倫代コーチも「全日本にパイオニアとして戻ってきたい、という思いがあった。これからが楽しみ」と話す。
練習拠点は、浅田真央さんプロデュースで昨年11月にオープンした「MAO RINK」(東京都立川市)。都内はフィギュアスケートやアイスホッケーのチームが多くリンクの貸し切りが難しかったが、練習時間を確保できるようになったと感謝する。
福田キャプテンは「一人だと全て背負わないといけない緊張も、みんなで分かち合える。生涯スポーツになり得る」と団体種目の魅力を語る。過去2年は出場1チームだったように、大学進学や就職、結婚・出産を機に競技から離れる選手が多いため、シニアでシンクロのチームを組むのは大変だという。大森代表コーチは「次の世代に引き継げるチームをつくりたい。各地でやってきたジュニア選手が、引き続き活躍できるチームになればいい」と願った。
ジャパンOP、インターミディエイトは京都宇治シンクロが優勝
同時開催の2025ジャパン・シンクロナイズドスケーティング・オープン大会で「インターミディエイト」は『アラジン』を演じた京都宇治シンクロ インターミディエイトがフリー54.55点で優勝。やまびこSTARLANDが52.62点で2位に入り、Jingu Ice Messengers Intermediateが51.24点で3位だった。