フィギュアスケートの全日本選手権最終日は22日、大阪府門真市の東和薬品ラクタブドームで行われ、女子はショートプログラム(SP)首位の坂本花織(シスメックス)がフリーも1位となり4連覇を果たした。16歳でSP2位の島田麻央(木下グループ)が2位、3位は樋口新葉(ノエビア)。ペアは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がSPに続いてフリーも1位となり5年ぶり2度目の優勝を果たした。
フィギュアスケート 全日本選手権(22日・大阪府東和薬品ラクタブドーム) 女子
①坂本花織(シスメックス) 228.68点(SP78.92=1,フリー149.76=1) ②島田麻央(木下グループ) 219.00点 (SP75.58=2,フリー143.42=2) ③樋口新葉(ノエビア) 206.40点(SP71.05=4,フリー135.35=3) ④千葉百音(木下アカデミー) 205.69点(SP74.72=3,フリー130.97=7) ⑤松生理乃(中京大) 204.00点(SP70.79=5,フリー133.21=5) ⑥山下真瑚(中京大) 200.25点(SP65.13=12,フリー135.12=4) ⑦渡辺倫果(三和建装・法大) 198.55点(SP65.96=11,フリー132.59=6) ⑪吉田陽菜(木下アカデミー) 195.27点(SP68.42=9,フリー126.85=13)
女子 ①坂本花織 228.68点(SP78.92=1,フリー149.76=1)
完ぺきではなかったが、女王の座は守った。後半の得点源、フリップとトーループの連続3回転で1本目の着氷で乱れ、2本目は2回転止まり。続く3回転ルッツの連続ジャンプでも踏み切りが不明瞭と判定された。ミュージカル「シカゴ」の楽曲は楽しいが難解。スタイリッシュな振り付けとエッジワークがかみ合わず、ステップでもレベルを取りこぼした。それでも、トップスピードで駆け抜け、演じきる精神力はさすが。演技点でただ一人9点台をそろえ、島田を突き放した。
坂本花織の話 自分の持ち味である「3―3」ができず悔しかった。優勝を死守できたのでほっとしている。全日本の雰囲気は特別なもの。その空気に飲み込まれず、しっかりできたのでよかった。
女子 ②島田麻央(木下グループ) 219.00点(SP75.58=2,フリー143.42=2)
冒頭の大技二つが成功していたら、坂本と順位が入れ替わっていたかもしれない。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は着氷したものの回転不足の判定。続いて跳んだ4回転トーループは3回転にダウングレード判定の上、転倒した。ここから顔色を変えずに立て直すメンタルが頼もしい。3回転フリップからの3連続ジャンプなど残り5本は全て加点を引き出し、スピンもレベル4をそろえた。技術点ではトップで坂本に8点以上の差をつけトップ。
女子 ③樋口新葉 206.40点(SP71.05=4,フリー135.35=3)
ミスがあってもプログラムを完遂するのが樋口の強さ。ジャンプは3回転サルコーが2回転になったほか、小さなミスがあったものの、パフォーマンスに揺らぎがない。満点の評価もあった終盤のステップやスピンは全てレベル4。演技点も8点台半ばをそろえた。
女子 ④千葉百音(木下アカデミー) 205.69点(SP74.72=3,フリー130.97=7)
緊張の面持ちでリンクに出た。最初の連続ジャンプは決めたものの、続く3回転サルコーで転倒、回転不足とも判定され大きなミスになった。得点源になるはずの後半のジャンプも回転不足などが続き、本来の安定感は戻らないまま。スピンやステップに取りこぼしはなかったものの、表彰台には届かず。演技後はうつむいた。
女子 ⑤松生理乃 204.00点(SP70.79=5,フリー133.21=5)
丁寧な身のこなしと深いエッジワークが印象的。ジャンプは終盤の3回転サルコーが2回転になったほか、回転不足の判定が二つ。また、スピンでも3本中2本でレベルを取りこぼした。それでも質の高いスケーティングへの評価は高く、演技点は3項目とも8点台に乗せた。
女子 ⑥山下真瑚(中京大) 200.25点(SP65.13=12,フリー135.12=4)
透明感のある演技で会場の雰囲気を変え、フリーで躍進した。高さと距離があるジャンプはルッツとトーループの連続3回転など7本全て着氷。スピンとステップもレベル4をそろえた。穏やかな曲調に感情をこめて、演技点も8点前後をそろえた。
女子 ⑦渡辺倫果(三和建装・法大) 198.55点(SP65.96=11,フリー132.59=6)
トリプルアクセルを鮮やかに決めた。冒頭に挑み、鋭い踏み切り。空中姿勢も美しく着氷も流れるようにまとめた。しかし、後半は3回転ループでも着氷が大きく乱れるなど、ジャンプにミスが続いた。
女子 ⑪吉田陽菜 195.27点(SP68.42=9,フリー126.85=13)
今季もGPを制した実力者がフリーでも苦しんだ。トリプルアクセルに挑戦したものの、着氷で大きく乱れた上、回転不足もあって大きな減点。3回転を予定していたループが2回転にとどまったほか、ジャンプで細かなミスが積み重なった。ステップがレベル2にとどまるなど、滑りの切れも欠いた。
ペア
①三浦璃来、木原龍一(木下グループ) 212.33点(SP74.16=1,フリー138.17=1) ②長岡柚奈、森口澄士(木下アカデミー) 176.68点(SP61.82=2,フリー114.86=2) ③清水咲衣、本田ルーカス剛史(木下アカデミー) 136.72点(SP54.22=3,フリー82.50=3)
ペア ①三浦璃来、木原龍一 212.33点(SP74.16=1,フリー138.17=1)
SPに続き、ジャンプにミス。3回転トーループからの3連続ジャンプを予定していたが、三浦が2回転にとどまり、木原も着氷で大きく乱れて2本目以降が跳べなかった。また、終盤のデススパイラルでもレベルを取りこぼした。それでも、リフトやスロージャンプなどで大きく加点。男女の恋愛を描くプログラムを熱量高く演じ、演技点も8点台後半から9点台をマーク、フリーの今季自己ベストを超えた。
アイスダンス・リズムダンス
①吉田唄菜、森田真沙也(木下アカデミー) 176.21点(RD71.84=1,フリー104.37=1) ②田中梓沙、西山真瑚(オリエンタルバイオ) 168.92点(RD66.03=2,フリー102.89=2) ③佐々木彩乃(日大)池田喜充(西武東伏見FSC) 141.09点(RD55.53=3,フリー85.56=3)