フィギュアスケートの全日本選手権第1日は20日、大阪府の東和薬品ラクタブドームで行われ、女子ショートプログラム(SP)は4連覇を狙う坂本花織(シスメックス)がトップ。16歳の島田麻央(木下グループ)が2位、19歳の千葉百音(木下アカデミー)が3位につけた。
◇フィギュアスケート 全日本選手権(20日・大阪府東和薬品ラクタブドーム) ▽女子SP ①坂本花織(シスメックス) 78.92点 ②島田麻央(木下グループ) 75.58点 ③千葉百音(木下アカデミー) 74.72点 ④樋口新葉(ノエビア) 71.05点 ⑤松生理乃(中京大) 70.79点 ⑥青木祐奈(MFアカデミー) 70.07点
女子SP ①坂本花織 78.92点
GPファイナルの不振を立て直し、女王の重厚な演技が戻ってきた。緊張の面持ちだったが、片足滑走で背中を反らせる難しい体勢からダブルアクセルを鮮やかに決めて波に乗った。続く3回転ルッツとフリップとトーループの連続3回転は、明確な踏み切りから大きなジャンプにつなげた。アルゼンチンタンゴのミステリアスな雰囲気を醸しだし、ミスは最後のスピンでレベルを取りこぼしたところぐらい。技術点は41点台をマークし、演技点も9点台をそろえた。
坂本花織の話 今、自分にできること全てを出し切れた。満足している。SPは一つのミスも許されない。ノーミスでできたことは本当に大きい。見ている人みんなに楽しんでもらえるフリーを完ぺきに滑りたい。
女子SP ②島田麻央 75.58点
世界ジュニア2連覇中の16歳が圧倒的なテクニックを披露した。冒頭でただ一人、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑み、わずかに回転不足と判定されたものの着氷した。その後の3回転フリップ、後半に跳んだルッツとトーループの連続ジャンプ切れと流れがあり「お手本」のよう。スピンとステップも取りこぼしなく、技術点はトップの44点台。ただ、演技点は抑えられた印象。3項目とも7点台にとどまった。
女子SP ③千葉百音 74.72点
GPファイナル2位と躍進のシーズン、勢いそのままに非公認ながら自己ベストを3点以上更新した。空中姿勢の美しいジャンプはルッツとトーループの連続3回転、両手を上げて跳んだ3回転フリップなど見応えがあった。スピン、ステップはレベル4をそろえた。ディスコミュージックに乗り、さわやかな風がリンクを吹き抜けるようなプログラム。ポニーテールを揺らし、笑顔で疾走した。
女子SP ④樋口新葉 71.05点
今季GP初優勝の23歳には安定感があった。ルッツとトーループの連続3回転などジャンプは全て着氷。スピンとステップも最高難度のレベル4をそろえた。曲調の変化に合わせ、振り付けやスケーティングだけでなく、表情まで音楽の中に入り込む表現力はさすが。
樋口新葉の話 大きなミスなく大会を終えることが目標。五輪シーズンはもっと点数が出ていたので、まだまだ伸びしろがある。フリーは今シーズン、コンスタントにいい結果が残せている。落ち着いて滑りたい。
女子SP ⑤松生理乃 70.79点
伸びやかなスケーティングで、70点台を初めてマークした。フリップとトーループの連続3回転など序盤のジャンプは順調。後半の3回転ルッツで回転不足と判定されたが、ミスはこれだけ。ポジションの美しい高速スピンとライディング・ムーブメントを取り入れたステップでも高い評価を得た。
女子SP ⑥青木祐奈 70.07点
難しい連続ジャンプ、ルッツとループの連続3回転が武器。しかし、1本目のルッツがわずかに回転不足と判定された。さらに序盤のスピンでバランスを崩すミス。それでも崩れない強さがあった。3回転フリップを美しくまとめ、その後の要素には取りこぼしなし。たおやかさと芯の強さを感じさせ、自身初の70点台に乗せた。