SP直前、坂本は中野コーチから大台の80点台を目指すよう、ハッパをかけられた。「重圧とは感じず、できることをしっかり精いっぱいやろう」。意気に感じた世界女王は、非公認ながら今季の自己ベストを1・43点上回る好演で応えた。3連覇に大きく近づく滑りを「大満足」と素直に喜んだ。
先週末に氷上練習ができないほど体調を崩し、21日の公式練習も精彩を欠いた。それでも「いつも通りの自分に戻って挑めた」。6分間練習の直後に演技するのは久々でウオーミングアップのルーティンは崩れたが、それも問題にしない。培ってきた対応力で、2位に約9点差と他を寄せ付けなかった。
踏み切り違反を取られることがあった課題の3回転ルッツを「(練習の)成果が出た」と、きっちり成功したことも収穫だ。今季ファイナルを含むGP3戦全勝と世界でも敵なしで、フリーへ「しっかりした内容で優勝できるように」と自らハードルを上げた。女子で56年ぶりの世界選手権3連覇を目標に掲げるシーズン。志は誰よりも高い。(大島)