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靴トラブルも安定の首位 宇野、6度目Vに前進

 ドビュッシーのピアノ曲「月の光」に合わせてしなやかにSPを演じ切ると、宇野は大きく息を吐いた。本調子でなくても4回転フリップを含む三つのジャンプを全て成功。年の瀬の大一番で格の違いを示し「ジャンプはずっと不安定だった。良くやったなと思う」と思わず笑みがこぼれた。

 関係者によると、今月初旬のGPファイナル(北京)から帰国後、左足のスケート靴が壊れ、修理と調整に時間を要した。ジャンプの感覚が狂い、長野入り前の練習では一度も4回転が成功しない日もあったという。それでも「完成されたプログラムを見せる」と経験豊富な世界王者は泰然自若。4回転―3回転を予定した連続ジャンプは、とっさの判断で二つ目を確実な2回転に変更してミスなく演技全体をまとめ「長年のキャリアかな」と誇った。

 ファイナルでランビエル・コーチに「これがベース。次はもっとチャレンジしよう」と促された表現面でも、他を圧倒した。若手の挑戦に壁となって立ちはだかり、本田武史(ほんだ・たけし)と羽生結弦(はにゅう・ゆづる)に並ぶ歴代2位の6度目制覇へ大きく前進。「みんなの目標となるように優勝を目指したい」と、第一人者の自負は揺るぎない。(藤原慎)