フィギュアスケートの元世界王者、高橋大輔さんがアイドルグループ「NEWS」のメンバー増田貴久さんとともに主演するアイスショー「氷艶 hyoen 2025―鏡紋の夜叉―」の記者発表会が12日、東京都内で行われた。高橋さんや増田さんのほか、演出を手がける堤幸彦さん、音楽を担当するロックバンド「LUNA SEA」のSUGIZOさんが登場し、トークインタビューは盛り上がった。
主なやりとりは以下の通り。
―アイスショーの手応えは。
堤「氷の上でまだ練習をしておらんのですけども。実は、今まさに皆さんいらっしゃるところ(記者会見場)でチェス盤のように区切って、練習を違う役者でつくっている。それをつくって皆さんに見てもらって、こんな感じだよっていうのを試してつくってる最中なんですけど。私は普段は映画やテレビドラマ、もちろん舞台もやっていますが、スケートの演出は本当に初めて。この数年間、勉強させていただいて。皆さんのお力を借りながら楽しくつくっていきたいと思っております」
―4度目の氷艶、高橋さんの故郷、岡山にゆかりのあるテーマ。
高橋「桃太郎伝説をテーマに、ということで、僕自身は氷艶をやっていくにあたって、桃太郎でやりたいなっていう思いがあったので。格好良くなるんじゃないかなっていうふうに思ってて。それがこの2025年に、かなうことになって、今すごくうれしく思っていて。鬼のモチーフとなった『温羅(うら)』という役をやらせていただくんですけど、桃太郎の『吉備津彦』役ではなく、『温羅』をやるっていうことが逆に僕自身、すごく楽しみで。何が悪なのか、何が正義なのか、これがどうなっていくのかといったところで、いろんなことを改めて考えさせるような舞台になってくんじゃないかなと思うんですね」
増田さん スケート経験「ドラマの1回だけで」 「永瀬廉くんに『すぐ断った方がいいですよ』って」
―増田さんはアイススケートの経験はあるのか。
増田「ないです(笑)」
―初歩から練習して臨む。
増田「一度、ドラマでスケートデートしてるっていうシーンをやったことあるんですけど、その1回だけで。この前大輔くんに教えてもらいながら、人生2回目のスケートをやったんですけど、周りの方々に『まっすーはなんでそのお仕事を受けちゃったの。まっすーってスケート、滑れたんだっけ』みたいなことをみんなに言われて。『いやいや、滑れないですよ』って。先ほど「King&Prince」の永瀬廉くんに会って、『今日、何のお仕事なんですか』って言われた。氷艶っていうのを説明したら、『いや、今すぐ断った方がいいですよ』って。(会場から笑いが起こる)」
堤「スケートの筋はどうだったの?」(高橋さんに尋ねる)
高橋「めちゃくちゃうまかったですよ。皆さん氷艶に参加してくださった方が、本番の時ぐらい滑る感じを1回目で。(増田さんは)滑れる人だと思っています」
増田「滑れないものだと思って演出してください(笑)」
堤「遠慮なくやらせていただきます」
増田「本番の日が近づいてくるにつれて、ドキドキがなんか増してきました。ものすごいお仕事を受けてしまったっていう。(高橋さんと)対決する役なので、ちょっとでもうまくなれるように、スケートは精いっぱい頑張って、できるとこまで上り詰めたいなと」

SUGIZOさん「究極のアート表現、ときめいています」 「スケート、エンタメ、演出の世界の3トップが横に」
―SUGIZOさんへ、音楽への意気込み。
SUGIZO「四半世紀ほどの悲願である堤監督とやっとご一緒させていただいて。まず感無量。今回、アイススケートというアプローチを使った壮大な、堤監督の脳内にあるものを、僕がいかに最高峰の形で世に出せるかってところにすごくときめいていますね。しかもアイススケートの世界、エンタメの世界、映画、演出の世界の3トップが横に並んでますので、ここに逆に僕がいて大丈夫なのかなって。究極のアート表現となると思いますので、僕的にはすごくときめいてます」
―アイスショーの音楽は初めて担当。
SUGIZO「アイスショーは初めてですが、さまざまな舞台や映画は今までやってきてますので、そのノウハウをそのまま流用できるかなと思うことと、アイスケートだからどうこうっていう音楽的にはとわれずに、自分の音楽の集大成をできたら。監督が大好きなロック、特に70年代の壮大なロックや、それがベースにありながら例えばトランスもあり、ダンスミュージックもあり、ジャズもあり、民族音楽もあり、クラシックもあり、自分の音楽の集大成が、堤監督と氷艶という世界にうまく融合できたらと思っております」
堤「先日、高橋さんの『滑走屋』を見たんですけど、音楽に対する身体の動きを細かく付けていくっていうのは本当に驚きました。もちろん前から情報としては知ってるし、映像でも見てるんですけども、生で見て驚きました。素晴らしい舞台でした」
SUGIZO「僕は、実は前回氷艶見させてもらったんですけど、本当素晴らしかったですよ、演出いらないくらい。本当に音楽と動きのマリアージュ、もう最高峰だなと思います」
―高橋さんは楽曲のロングバージョンを聞かれたんですよね。どんな印象を受けましたか。
高橋「やっぱりスケートってすごい、普段では感じられないようなスピード感っていうのがまず一番にはあると思うんですけど、それがもう融合してるなと。頭の中ですごくイメージできましたし。物語としていろんなものをすごく感じられるような楽曲になったので、今からやるのが楽しみで仕方がないですね」
―増田さんは、高橋さんとショーの上では対戦という形になる。
増田「僕は初めてちゃんとお会いさせてもらった時から、なんか昔から知ってたような感覚というか、実際、昔テレビで見ていたんで、一方的にはもちろん知ってたんですけど、会った時に、なんか昔から友だちだったみたいな感覚でいてくれる方で、仲良くなれた関係の中で(吉備津彦の役として)対戦してお互いが持っていたものが変わっていたり、持っていなかったことに気づいたりとか、いろいろ気持ちの面で、2人の出会いによって2人が変わっていくっていう、繊細な部分も大輔くんとつくるのは楽しみだなって思っています」
―高橋さんは今回で氷艶は4回目です。ダブル主演というのは初めてで心持ちは違いますか。
高橋「ダブル主演でやったことがないので、どういう心持ちで挑めばいいのか正直分かってない部分はあるんですけれども、増田さんのパフォーマンスを見させていただいた時に、僕もレベルを上げていかないと、ダブル主演という立ち位置になれないんじゃないかなっていうぐらい、すごいパフォーマンスをされてたので。緊張感というか、それはどんどん高まっていくんだろうなっていうふうには思っています」
増田「僕は必死についていくというか。ほんとにすごいものができるんじゃないかなと思って」

「新たな化学反応が生まれていくんだろうなと思い、今からどきどき、わくわくわくが止まらない」
―意気込み。
堤「氷上の演出というのは初めてです。真摯に向き合いながら、でも、必ずやっていく最中に大きな発見があり、喜びがあって、それを皆様と共有し、氷の上ではありますけども、その熱がたくさんお越しいただくであろうお客様に届くのではないかというふうに思ってますんで、私自身も楽しみながら、そして緻密に細やかに計算しながら演出していきたいと思います」
高橋「また、新たな化学反応が生まれていくんだろうなと思い、今からどきどき、わくわくわくが止まらなくてですね。僕自身もそうですし、ファンの皆さんもそうですし、新しく見に来てくださる方なんかも、新しい発見だったり、いろんなものが見られると思いますので、皆さんとともに全力で最高の素晴らしいものをお見せできるようにしていけたらなというふうに思います」
増田「スケートを滑れなくてもいいですよというオファーをいただいて。氷艶のスタッフさんとのお話で、スケーターの方々への愛だったり、思い、大輔くんをはじめ、出られるスケーターの方たちの、氷艶に懸ける思いだったり、エンタメに対する思いみたいなものを聞いて、その一部になりたいなと思って、このお話を受けさせてもらって。氷上で行うショーなので、まず練習して、どこまでできるかっていう自分との戦いではあると思うんですけど、できるとこまで精いっぱい頑張って、しっかりと滑って、しっかり氷艶のいいピースになれるように頑張ります」
SUGIZO「すでに至高の総合エンターテインメント、総合舞台芸術ですので、そこに映画界、スポーツ界、エンタメ界のトップの3人とご一緒させていただけるっていうことで、僕は本当にテンションが上がっています。このお三方の存在に対して恥じないような、自分の今までのキャリアの総決算とも言っていいような最高峰の音楽を生み出していきたいと思います。その音楽によって、またこのお三方が引っ張られるような、未知なる体験や未知なる景色、そこに音楽で導けたら最高だなと思っていますので、全力で臨ませていただきます」
「(高橋さんが)鍋でむせて、一気に打ち解けた」「ここまで美しいスポーツ選手いますか」
―(囲み取材で)高橋さんの印象
堤「ものすごい精神的緊張の中で結果を出すという、とてもストイックでクールで簡単に軽い話ができないんじゃないかというふうに思っていました。お食事を一度一緒にさせていただいた時に、その会で鍋で、(高橋さんは)ものすごい食べるんですよ。食べながら(高橋さんが)一回むせて。(笑いが起こる)一気に打ち解けました。なんていい人なんだと。スキルが高くてレベルが高い表現力を持っていながら、人間味にあふれるってことは、まさにこのテーマですよ。そういうことを表現できる人だなと確信していますので、僕は楽しみです」
増田「でも本当にオリンピックとか、もうテレビでも昔から見させてもらってましたし、ステップもターンも本当に全部すごいなと思って見ていた方と一緒にこう、この前練習で滑らせてもらった時に、なんていうんですかね。こうオーラというか、氷上にいる、滑り方もそうですけども立ち方がかっこよくて、裏でお話させてもらうと優しいし、先ほども言いましたけどなんか昔から知ってた感覚の何か、なんて言うんですかね。付き合い方をしてくれる方で。そう僕は結構すぐ打ち解けて、なれなれしく話しかけちゃってますけど。はい。なんか近々ご飯でも。僕にも鍋飛ばしてください」
SUGIZO「もう昔から思っていることなんですけど、アイススケートの選手、特にやっぱり美しさを競う競技じゃないですか。他にもね、スケート以外にもアートなアスリートの方々がたくさんいらっしゃいます。いわゆる力を競う、速度を競う、距離を競うだけではなくて、最終的な美しさや表現力を競う競技で今までトップでこの場所におられた。すごくおこがましいんですけど、ミュージシャンとしてステージに立つ僕らと、例えばエンターテイメントや歌やダンスとしてステージに立つ増田さんたちと、実はとても近いところに長年いらっしゃったんじゃないかと。ただのアスリートでもなく、それこそ、『ここまで美しいスポーツ選手いますか』っていうところ、俳優としてもミュージシャンとしても醸し出すオーラが美しい、そういう方とご一緒できるってことは、僕もとってもテンションが上がります。全然違った職種なようでいて、実はとても近い人種だったんじゃないかと思っていますので、今回こうやってご一緒させていただくこと心から光栄にも思っています」