新感覚アイスショー「BIS F25×The World of Anime」の見どころは? 振り付け担当の鈴木明子さんが解説 最安チケットは破格の1500円、宇野昌磨さんらお気に入りアニメ音楽で新演目披露へ

「BIS F25」提供

 フィギュアスケートの新感覚アイスショー「BIS F25×The World of Anime」が1月25、26日にオーヴィジョンアイスアリーナ福岡(博多区)で開催される。世界選手権2連覇の宇野昌磨さんら出演者がお気に入りのアニメの音楽を使った新演目を披露し、歌手の高橋洋子さんが生歌で共演。氷上でのドローンショーといった新たな試みにも注目だ。出演者の一人で、振り付けも手がける冬季五輪2大会出場の鈴木明子さんに見どころを語ってもらった。(聞き手 藤原慎也)

「観客のコスプレ入場も可。一緒に面白い雰囲気をつくり上げてほしい」

 ―今回のショーの特徴は。
 「アニメとのコラボです。私が現役時代から海外のいろんな場所に行って感じたのが、日本アニメの人気の高さです。作品で使われている曲もすごく愛されていて、それを(宇野さんや無良崇人さん、本田真凜さん、本郷理華さんら)スケーターたちが衣装からこだわり、世界観を一からつくり上げて表現します。観客のコスプレ入場も可なので、大きなかぶり物など他の方に迷惑がかからないようにだけ気をつけて、好きなアニメの衣装で見に来ていただき、一緒に面白い雰囲気をつくり上げていってほしいです」
 ―歌手の高橋洋子さんとのコラボレーションもある。
 「誰と誰の個人的コラボがあるかっていうところまでは当日のお楽しみで言えないんですが、出演者全員で高橋さんの生歌に乗せて滑るところはあります」
 ―ドローンを使った演出も。
 「国内のアイスショーとしては初めての挑戦です。リハーサルがまだで、私はまだ映像上でしか見られていないんですが、アイスリンクの空間を生かした斬新な演出も楽しんでいただけたらいいなと思っています」

「BIS F25」提供

「いろんな世界観を吸収し続ける宇野昌磨さん。アニメの楽曲をどう表現するか楽しみ」

 ―プロスケーターとなった宇野さんの滑りをどう見ていますか。
 「私はちっちゃい頃から宇野さんを知っているんですが、選手の時からいろんな曲を表現することに優れていて、なおかつジャンプやステップといった技術も非常に高いレベルを持っている。そんな彼がプロとなって、さらにいろんな世界観を吸収していっている。今回はアニメの楽曲をどんなふうに表現してくれるのか、すごく楽しみにしています」
 ―中には集客に苦労するアイスショーもあります。昨年に続いて福岡県で2度目の開催となる公演のテーマは何か。
 「このアイスショーの魅力の一つに『体験型』というところがある。(購入するチケットによって)カメラマンやアナウンサーの体験ができ、一方的にこちら側が演技をする、スケートを見てもらうっていうだけではなく、皆さんに参加してもらうという形で楽しんでもらえるような工夫もしています」
 ―カメラマン、アナウンサー体験とは。
 「実際に試合やアイスショーを撮影しているプロのカメラマンからレクチャーしてもらい、プロの機材を使って演技を撮ることができます。スケート靴で削られた氷がぱっと舞う瞬間であったり、照明と選手の影とのコントラストといった『一瞬』を切り取ることが楽しめる。アナウンサー体験では記者の方と同じように演技を終えたスケーターにインタビューできます」

鈴木明子さん(「BIS F25」提供写真)

「フィギュアスケートの世界に触れて、興味を持ってもらえたら」

 ―前回公演の印象的なことは。
 「小学生からインタビューを受けた後に『スケートがしたくなった』って言葉を聞いた時にやりがいを感じました。何かを一生懸命やるきっかけ作りというのが私の活動の中にあるので、実際に見て、心が動いてくれたらすごくうれしいです」
 「前回は初めてスケートを見たという方が多く『スケートを生で見たらめちゃくちゃ楽しかった』というコメントがたくさん私の耳にも届きました。フィギュアが大好きと言ってずっと見てくださる方ももちろんなんですが、こういうショーをきっかけに『こんな世界があるんだ』と新たにファンになってくれたら。実際に今回はアニメファンの方に足を運んでもらい、フィギュアスケートという世界に触れて、興味を持ってもらいたいです」
 ―チケットは1500円からと、アイスショーとしては破格。
 「アイスショーって敷居が高いところはあります。例えば、友人にスケートに興味を持ってほしいなと思っても、チケットが高いと気軽には誘えない。でも1500円だと、映画館に行くノリで誘いやすい。ショーに行く1歩目が軽くなったらうれしいです。高橋洋子さんの生歌を聞けるだけで価値があります(笑)」


Profile

 鈴木 明子(すずき・あきこ) 24歳で五輪初出場を果たした遅咲きのスケーター。2001年ジュニアGPファイナル3位と将来を有望視されていたが、東北福祉大時代に摂食障害となり、体重はわずか3カ月で48キロから32キロに激減。周囲の支えで引退危機を克服して2009年中国杯でGP初優勝を果たすと、勢いに乗って2010年バンクーバー冬季五輪の代表を射止めた。2013年全日本選手権で初優勝、2014年ソチ五輪は2大会連続の8位入賞。世界選手権は2012年に3位、GPファイナルは2011年に2位となった。2014年3月の世界選手権を最後に現役を退き、プロスケーターや振付師として活躍する。1985年3月28日生まれ、愛知県出身の39歳。

鈴木明子さん(「BIS F25」提供写真)