羽生さん故郷で希望の舞  震災12年に「祈り、感謝」

 フィギュアスケートの元五輪王者で仙台市出身の羽生結弦さん(28)が10日、宮城県セキスイハイムスーパーアリーナで、東日本大震災から12年に合わせたアイスショーを開催した。「3月11日という日に毎年、祈り、感謝の気持ちを込めながら人知れず滑ってきた。(ショーが)少しでも希望となるように心から願っている」との思いを込めて華麗に舞った。
 故郷で初めてショーの座長を務め、約6千人の観客を集めた。仙台市内で練習中に被災し、自宅は全壊判定を受けた。絶望感を抱きながら家族と避難所に向かう夜道で、頭上に広がる星空に心が救われたという。イタリア語で「満天の星」を意味する「notte stellata」を公演名に選んだ。
 2012年にカナダに練習拠点を移し、14年ソチ冬季五輪で日本男子初の金メダルを獲得。仙台市のリンクに自著の印税を寄付するなど支援を続けてきた。12日までのショーで来場者が防災について考えるきっかけになればと、物販も防災グッズを中心に展開した。
 「春よ、来い」の演目ではピアノの旋律に乗せて「被災された方々の希望は何かをイメージしながら」しっとりと演じた。体操男子で五輪2連覇の内村航平さん(34)もゲスト出演。羽生さんの4回転ジャンプに合わせてリンク脇のステージで美しい宙返りを披露し、会場を盛り上げた。