【世界選手権最終日・ダイジェスト】鍵山は銅メダル、マリニンV2

 世界選手権最終日は29日、米国のボストンで行われ、男子でショートプログラム(SP)2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)はフリー10位にとどまり、順位を下げて銅メダルだった。マリニン(米国)がSPに続きフリーもトップで2連覇を果たした。佐藤駿(エームサービス・明大)は6位、壷井達也(シスメックス)は21位だった。
 ▽男子 ①マリニン(米国) 318.56点(SP110.41=1,フリー208.15=1) ②シャイドロフ(カザフスタン) 287.47点(SP94.77=3,フリー192.70=2) ③鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大) 278.19点(SP107.09=2,フリー171.10=10) ⑥佐藤駿(エームサービス・明大) 270.56点(SP91.26=5,フリー179.30=6) (21)壷井達也(シスメックス) 216.26点(SP73.00=24,フリー143.26=18)

▽男子 ③鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大) 278.19点(SP107.09=2,フリー171.10=10)

 ジャンプが大乱調。フリーは10位に沈んだものの、SPの貯金が生きて表彰台を確保した。4回転は3種類を4度盛り込んだが、予定通り成功したジャンプは一つもなかった。冒頭のフリップは回転が抜けて2回転になり、続くサルコーは着氷で大きく乱れた。3回転との連続で跳んだトーループは、4回転こそ着氷したが勢いがなく2本目が2回転止まり。さらに基礎点が上がる後半に唯一組み込んだ単発のトーループでは激しく転倒した。フラメンコの動きを研究し磨き上げたステップでは、抜群のスピードとエッジワークを披露したものの、ジャンプのミスを取り返すには至らない。演技点は3項目とも9点台に乗らなかった。ぼう然自失の様子で、演技後はうつむきがち。合計得点がコールされ表彰台の確保を確認すると、ほっとしたように両手で顔を覆った。

▽男子 ⑥佐藤駿 270.56点(SP91.26=5,フリー179.30=6)

 4回転ジャンプは3種類を4度。冒頭に跳んだ最高難度のルッツが圧巻だった。切れ味よく踏み切って鋭い回転につなげ、出来映えで3点台の加点を得た。続くフリップは着氷したものの踏み切り違反の判定で減点された。それでも、SPでは失敗していた4回転と3回転の連続トーループに成功した。しかし、後半の単発の4回転トーループで転倒する痛恨のミス。また、スピンやステップで最高難度のレベル4を獲得したのは一つだけ。技術点は98点台止まり、演技点も8点台前半から半ばと伸び悩んだ。

▽男子 (21)壷井達也 216.26点(SP73.00=24,フリー143.26=19)

 SP24位とぎりぎりでフリーに滑り込み、1番滑走で登場。4回転ジャンプはサルコーだけで、上位進出は冒頭で2回挑むこの大技の成功が必須だった。しかし、連続ジャンプで予定していた1回目は回転不足の上、激しく転倒し、2本目が跳べなかった。2回目も3回転にとどまる失敗。ここで上位への芽が断たれた。その後は2回のトリプルアクセルなどを決めたが、難度で見劣り。スピードも欠いてスピンやステップでもレベル2や3が目立つ不本意な出来だった。166点台の自己ベストに遠く及ばず、うつむいた。

「4回転の神」が連覇 20歳は超大技で躍進

 「4回転の神」を名乗るマリニンが連覇を達成した。クワッドアクセル(4回転半)を含む4回転以上のジャンプ6種類をすべて組み込む「異次元」の構成。わずかに回転不足と判定されたものもあったが、小さなミス。今季から解禁された「バック宙」などのアクロバット技も盛り込んでスタンドを沸かせ、演技点も9点台をそろえた。2位に入った20歳のシャイドロフは超大技「トリプルアクセル―オイラー―4回転サルコー」を雄大に披露、これだけで21.53点をたたき出した。ルッツなどほかの4回転にも安定感がある。スピンやステップには伸びしろがあり、五輪シーズンの来季はさらに怖い存在になりそうだ。