世界選手権第3日は28日、米国のボストンで行われ、女子で坂本花織(シスメックス)はフリー2位でショートプログラム(SP)5位から順位を上げ、銀メダル。史上5人目の4連覇はならなかった。同2位の千葉百音(木下アカデミー)がフリーは3位で銅メダルを獲得した。樋口新葉(ノエビア)は6位だった。SP1位のリュウ(米国)がフリーも1位となり初優勝した。アイスダンスのリズムダンス(RD)で吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)は22位で、フリーに進めなかった。
▽女子 ①リュウ(米国) 222.97点(SP74.58=1,フリー148.39=1) ②坂本花織(シスメックス) 217.98点(SP71.03=5,フリー146.95=2) ③千葉百音(木下アカデミー) 215.24点(SP73.44=2,フリー141.80=3) ⑤樋口新葉(ノエビア) 204.58点(SP72.10=4,フリー132.48=6)
▽アイスダンスRD (22)吉田唄菜、森田真沙也(木下アカデミー) 67.69点=フリーに進めず

▽女子 ②坂本花織 217.98点(SP71.03=5,フリー146.95=2)
硬かった表情が音楽がかかると一変し、世間を翻弄する「シカゴ」の主人公になりきった。冒頭からリンクが狭く感じるほどのトップスピード。そのままダブルアクセルを雄大に跳び、一気に自分の世界に引き込んだ。多彩に変化する曲調とリズムに乗せたスタイリッシュな演目。ジャンプをはじめとする要素が音楽にぴたりとシンクロし、見応えがあった。スピンとステップは最高難度のレベル4を獲得。演技点は「スケート技術」で9点台に乗せるなどトップだった。プログラムを完遂して、感情が高ぶり何度もガッツポーズ。ただ、ジャンプに回転不足との判定が二つ。技術点ではジャンプの難度差もあってリュウに3点以上の差をつけられた。

▽女子 ③千葉百音 215.24点(SP73.44=2,フリー141.80=3)
たおやかに舞い、19歳が2度目の世界選手権で銅メダルを獲得した。序盤のミスを3回転サルコーの回転不足だけに抑え、ジャンプの基礎点が上がる後半へ。ここから難しい3回転ルッツからの連続ジャンプに2回挑んだ。1回目は成功。2回目は回転不足と判定されたものの、大崩れすることはなかった。ビールマンポジションなど美しい姿勢のスピン、繊細に音楽を捉えながら深いエッジワークを披露したステップはすべてレベル4。演技点は3項目とも8点台半ばの評価を得た。世界の表彰台にふさわしい実力を示し、本人も納得。達成感のある表情に芯の強さがのぞいた。

▽女子 ⑥樋口新葉 204.58点(SP72.10=4,フリー132.48=6)
序盤でジャンプに回転不足があり、スピンでもレベルを取りこぼす小さなつまづき。痛かったのは後半の得点源にしていた3回転ループと2回転トーループの連続ジャンプ。1本目が2回転にダウングレード判定となった上に2本目が飛べず、わずか0.48点しか獲得できなかった。それでも、あきらめないのが樋口らしさ。終盤にはドラマチックな女性ボーカルに没入し、心を揺さぶるような表情を浮かべながらステップを踏んだ。リンクサイドに控えていた坂本の涙を誘うほどの熱演だった。

復帰のリュウが初優勝、日本と米国が上位独占
女子は上位6位までを日本勢と地元米国勢が占めた。16歳で引退し、今季現役復帰したばかりのリュウがフリーも1位となり初優勝した。全米選手権を13歳で制し、同時期にはトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と4回転ルッツにも成功した「天才少女」。19歳になり、当時のような大技はないが、正確なジャンプをはじめ、すべての要素で加点を得る完ぺきな演技。スケートを心から楽しんでいるような穏やかな表情が何より印象的だった。一方、メダルには届かず5位だったものの、グレンはSPに続きフリーでもただ一人トリプルアクセルに挑んで着氷。意地を見せた。
▽アイスダンスRD (22)吉田唄菜、森田真沙也 67.69点
フリー進出ラインまでわずか0.40点。ともに21歳のカップルは力を出し切ったものの、世界の壁に阻まれた。1950年代のロカビリーミュージックに乗り、はつらつと演技した。2人そろってターンを繰り返す難所のツイズル、会場を沸かせた高速リフトで最高難度のレベル4を獲得。ミスなくまとめ、技術点は自己ベストだった。しかし、演技点が伸びない。3項目とも7点台前半と厳しく評価され、20位以内に入ることはできなかった。