世界選手権は26日、米国のボストンで開幕、ペアのショートプログラム(SP)で2年ぶりの頂点を目指す三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がトップに立った。女子SPでは千葉百音(木下アカデミー)が2位と好発進。樋口新葉(ノエビア)は4位、4連覇を目指す坂本花織(シスメックス)は5位と出遅れた。
▽ペアSP ①三浦璃来、木原龍一(木下グループ) 76.57点 ②コンティ、マチー(イタリア) 74.61点 ③ハゼ、ボロディン(ドイツ) 73.59点 (22)長岡柚奈、森口澄士(木下アカデミー) 51.10点=フリーに進めず
▽女子SP ①リュウ(米国) 74.58点 ②千葉百音(木下アカデミー) 73.44点 ③レビト(米国) 73.33点 ④樋口新葉(ノエビア) 72.10点 ⑤坂本花織(シスメックス) 71.03点

▽ペアSP ①三浦璃来、木原龍一 76.57点
2年ぶりの世界一を狙う2人が、順当に首位に立った。シャープな滑りが引き立つ疾走感あるプログラム。中盤の見せ場、スロー3回転フリップを鮮やかに着氷すると、大歓声が沸いた。男性の姿勢も変化するリフトや至近距離でぴたりと合わせたスピン、ステップはレベル4を確保。並んで跳んだ3回転トーループでは回転不足と判定され、ツイストリフトとデススパイラルではレベルを取りこぼしたものの、技術点は唯一40点台を獲得。演技点でも9点前後をそろえトップ。充実の内容に三浦は締めポーズの時から笑顔だった。

▽ペアSP (22)長岡柚奈、森口澄士 51.10点
23組中22位と、つらい世界選手権デビューになった。冒頭の3回転ツイストリフトで長岡が激しく転倒。その影響か、直後の3回転ループでも長岡がダウングレード判定の上、着氷で大きく乱れた。さらにスロージャンプでも安定感を欠いた。序盤で大きなミスが続き、終盤も立て直せなかった。60点台の自己ベストならフリーに進出できていたが…。演技後、泣き出しそうになる長岡を森口がハグして慰めた。

▽女子SP ②千葉百音 73.44点
体調不良もあって2月の四大陸選手権では6位に終わった19歳がはじけるように舞い自己ベストをマーク、頂点を狙える位置につけた。軽やかに跳ぶジャンプはすべて着氷。冒頭のルッツとトーループの連続3回転で2本目がわずかに回転不足と判定されたものの、小さなミス。基礎点が上がる後半の3回転フリップでは両手を掲げてアピールした。スピンも美しいポジションで魅了し、最高難度のレベル4をそろえた。さわやかな笑顔で銀盤を駆け抜け、演技点は3項目とも8点台半ば。ステップがレベル3にとどまったのが惜しかった。

▽女子SP ④樋口新葉 72.10点
ミステリアスな表情も豊かに、今季の自己ベストを更新した。ルッツとトーループの連続3回転など、三つのジャンプはすべて成功。着氷は流れるようで、音楽とのシンクロも申し分なかった。スピンとステップでも堅実にレベル4をそろえた。技術点ではすべての要素で加点を引き出したものの、演技点では「振り付け」が7点台にとどまるなど抑えられた印象。それでも、22年大会以来の世界選手権で会心の滑り出し、演技後は納得の笑顔になった。

▽女子SP ⑤坂本花織 71.03点
ジャンプの大きなミスで4連覇を目指す女王が出遅れた。片足滑走で背中を反らせた体勢からのダブルアクセル、雄大な3回転ルッツと順調だったものの、後半の見せ場、フリップとトーループの連続3回転で暗転。1本目のフリップで回転が抜け2回転となり、失敗が許されないSPで痛恨のミスになった。また、スピンとステップでもレベルを取りこぼした。演技点はトップだったものの、3項目とも9点に届かなかった。演技の後はうつむきがち、表情もこわばった。

リュウが首位、グレンは転倒
外国勢も明暗が分かれた。首位のリュウ(米国)は有力選手の中で最も早い18番目に登場。すべての要素で加点を引き出す好演技でただ一人、技術点で40点台をマークした。一方、グランプリ・ファイナルを制したグレン(米国)はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑んだものの転倒し、9位と大きく出遅れた。また、四大陸選手権覇者の金采衍(韓国)も転倒があり11位、欧州選手権優勝のペトロキナ(エストニア)も振るわず12位に沈んだ。